練馬区立牧野記念庭園を見た後、石神井公園近くの石神井アパートメント(2011)にも立ち寄りました。
住宅街の中に建つ8戸からなる長屋形式の集合住宅。各棟の屋根やスラブをグリットから水平、垂直にずらして配置していくことで、 外と内が複雑に混ざり合っている。各戸に設けられた屋外テラス・庭・駐車場が住戸間の隙間として機能し、集合することによって偏りがちな採光と通風が均一に獲得されています。各戸が独立して集合しているため、近隣への圧迫感もなく、日照も遮られていません。
ただ、鉄骨に外装は概ねアルミサッシのガラスで構成されているため、様々な批判が多いようです。
- プライバシーがなくブラインドを下ろさなければいけない。
- ガラスによる熱環境の問題がある。
- 住宅地で家族が住む空間としてはどうか。
など。
これらの問題はあるかもしれないが、実際に見に行くとこの周辺地域の住環境に馴染んでいて唐突な印象はありませんでした。私はこの日、大泉学園から牧野記念庭園を経由して長く歩いて、この敷地まで辿り着きました。「東京のよくある高密度な低層住宅地」とは一概に言えない「石神井の高密度な低層住宅地」として他のエリアとは違う雰囲気を感じました。
- 都内の住宅としては敷地が広く、庭を持つ家が多い。
- ただ、東西に敷地いっぱいに建てられ隣棟間隔が狭く、わずかな隙間を介して並んでいる。
- 宅地整理された郊外の住宅地ではないため、その隙間が多くの路地を生んでいる。
航空写真で見ても分かるように戸建て住宅が占める街に、60㎡程度の2LDK・8戸が大スケールを構成せず、街のスケールをより小さく分解するように配置されています。都内の住宅地にも見え隠れするこの街並み(集合)を顕在化しつつ、ここでの新たな集合の在り方を提示されています。
石神井アパートメントの写真